最高裁判所第二小法廷 昭和32(さ)3 判決
主 文
本件につき津山簡易裁判所が被告人A、同Bに対し略式命令をした訴訟
手続を破棄する。
理 由
本件非常上告申立の理由は末尾添付書面記載のとおりである。
よつて記録を調査するに、被告人Aは、昭和二八年一〇月頃から同二九年三月中
旬頃にわたつて津山市a町b番地の自宅において、児童であるC(昭和一一年三月
二七日生)を置き遊客数百名の相手をさせ、もつて売淫行為をさせた旨、被告人B
は、昭和三〇年六月頃同市a町b番地の自宅において、児童であるD(昭和一二年
九月二八日生)を置き遊客数名の相手をさせ、もつて売淫行為をさせた旨、の各犯
罪事実について、昭和三〇年一一月八日津山簡易裁判所に公訴を提起すると同時に
略式命令を請求せられ、同裁判所は略式手続により同月一五日右と同一の各犯罪事
実を認定し、右各事実につき、児童福祉法三四条一項六号、同六〇条、罰金等臨時
措置法二条、刑法一八条を適用して被告人Aを罰金一万円に、被告人Bを罰金五千
円に夫々処し、所論のとおり労役場に留置する旨の略式命令をなし、該命令は同月
二五日各被告人に送達せられたが、正式裁判申立期間の経過により同年一二月一〇
日各確定するに至つた事実が認められる。
しかし被告人両名は右公訴提起当時成人であるところ、少年法三七条一項によれ
ば、成人の児童福祉法六〇条の罪にかかる事件の公訴は、家庭裁判所に対し提起し
なければならず、裁判所法三一条の三・一項によれば家庭裁判所は右のような事件
については専属管轄権を有するのであるから、本件については原審津山簡易裁判所
は管轄権を有せず、従つて、本件公訴を受理した原審としては、刑訴法四六三条に
より本件について通常手続に従い、同三二九条に則り管轄違の判決を言い渡すべき
であつたにかかわらず、略式手続により前記のとおり本案裁判をしたのであるから、
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その訴訟手続が法令に違反したものであること明らかである。本件非常上告は理由
がある。
よつて、刑訴法四五八条二号に従い、本件につき津山簡易裁判所が被告人A同B
に対し略式命令をした訴訟手続を破棄すべきものとし、裁判官全員一致の意見で主
文のとおり判決する。
検察官 安平政吉関与。
昭和三二年八月二三日
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 小 谷 勝 重
裁判官 藤 田 八 郎
裁判官 池 田 克
裁判官 河 村 大 助
裁判官 奧 野 健 一
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